臨床工学技術部
臨床工学技術部
臨床工学技士は医師の指示のもと、医療機器を操作・管理・保守を行う医療機器のスペシャリストです。病院内で、生命維持装置の操作などを担当し、医師・看護師などとチーム医療の一翼を担います。医療機器が何時でも安心して使用できるように保守・点検を行っており、安全な医療機器の提供に貢献しています。
臨床工学技術部では安全な医療機器を提供するために生命維持装置の安全使用、医療機器の安全な操作、緊急治療、医療機器のトラブルに対して24時間体制で対応することを目標に、5つのアクションを実践し、日々の業務にあたっています。
臨床工学技士が取得している主な資格
経験年数に応じて、個々の目標を明確にし、臨床工学技士の専門性を高めるとともに、専門的治療に対応ができる能力を修得した臨床工学技士を育成しています。
【専門臨床工学技士】
- 不整脈治療関連専門臨床工学技士
【認定臨床工学技士】
- 認定血液浄化関連臨床工学技士
【認定資格】
- 透析技術認定士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 4学会合同体外循環技術認定士
- 高気圧酸素治療専門技師
- 消化器内視鏡技師
- 日本アフェレシス学会認定技士
- 臨床ME専門認定士
- 医療機器情報コミュニケータMDIC
- 心血管インターベンション技師
- ICLSコース認定インストラクター
- 日本DMAT隊員
- 心臓植込みデバイス認定士
新人研修制度
新人ローテーションチェックリストに沿って、先輩の臨床工学技士とペアで見学→座学→実技を経験し、約1年をかけて6つの業務をローテションします。 様々な知識・技能を習得することが可能です。日常業務を行いながら、様々な治療を見たり、患者様に接することで、基礎的な知識やマニュアルに沿った技能を身につけることができるような教育制度を構築しています。
業務内容
病院内の様々な業務で臨床工学技士が活躍しています。
医療機器管理業務
医療機器中央管理
当院では、医療機器管理システム「MARIS V3」を用いて管理を行なっています。このシステムは保有台数や所在管理が明確にでき、機器の点検記録も速やかに確認することができます。
保守点検
人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプ、除細動器、 麻酔器、保育器、電気メス、血液ガス分析装置、人工心肺装置や血液浄化装置等の多種多様な医療機器の保守点検を臨床工学技士が行っています。各装置がいつでも安全に使用できるよう定期的な点検計画を立て、中央管理を行っています。
手術室業務
麻酔器など手術で使用する医療機器の始業点検、使用後点検と手術で用いる医療機器の準備、操作を行います。
- 始業・定期点検
- 体外循環業務
- 内視鏡下手術支援ロボット管理業務
- レーザー治療装置操作
- 手術支援ナビゲーションシステム操作
集中治療業務
手術後や状態の悪い患者様に対し、人工呼吸器や持続的血液浄化装置、ECMOなどの生命維持管理装置の操作や管理を行います。呼吸療法認定士の資格を持った臨床工学技士が、呼吸サポートチームに所属し、人工呼吸器からの早期離脱と合併症予防に努めています。
- 人工呼吸器管理
- 血液浄化装置の管理
- 補助循環装置の管理
心血管インターベンション業務
心臓カテーテル検査、治療において血管内超音波装置IVUSの操作、体外式ペースメーカーの操作、操作室でのポリグラフの操作を行います。患者様の急変時にはIABPやECMOの補助循環装置を操作し、スピーディーに対応し、循環器病センターハートチームの一員としてチーム医療に貢献しています。
- 患者様情報データベースの作成・管理
- OFDI(光干渉断層診断装置)操作
- ポリグラフ
- IABP(大動脈内バルーンパンピング)操作
- ECMO(体外式膜型人工肺)操作
- IVUS(血管内超音波診断装置)操作
- FFR(冠血流予備量比)操作
- 体外式ペースメーカ
不整脈治療関連業務
不整脈治療ではペースメーカ(PM)、植込み型除細動器(ICD)といった機器を体に植込む手術に立ち合います。ペースメーカ外来ではペースメーカチェックを行い、植込み型心臓デバイスの管理を行います。
- ペースメーカ外来
- 植込み型心臓デバイス植込み(交換)
- 患者様情報データベースの作成・管理
- MRI対応植込み型心臓デバイスMRI検査
- 遠隔モニタリング対応植込み型心臓デバイスデータ解析・管理
- 経皮的心筋焼灼術(心臓カテーテルアブレーション)
高気圧酸素治療業務
高気圧酸素治療は医師の指示のもと、臨床工学技士が操作します。高気圧酸素治療は、大気よりも高い気圧環境下で高濃度の酸素を吸入することにより、血液中の酸素量を増加させ、様々な病態の改善を図る治療です。当院は日本高気圧環境・潜水医学会認定施設で専門医1名、専門技師が2名在籍しています。
第一種治療装置を2台保有しており、年間の治療実績は約2000件で、24時間365日体制で治療に対応しています。
【適応疾患】
- 減圧症又は空気塞栓
- 急性一酸化炭素中毒その他ガス中毒(間歇型を含む。)
- 重症軟部組織感染症又は頭蓋内膿瘍
- 急性末梢血管障害
- 脳梗塞
- 重症当部外傷後若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫
- 脊髄炎又は放射線障害
- 重症の低酸素脳症
- 腸閉塞
- 網膜動脈閉塞症
- 突発性難聴
- 放射線又は抗がん剤治療と併用される悪性腫瘍
- 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
- 皮膚移植
- 脊髄神経疾患
腎センター業務
腎センターは42床(多人数用41床、個人用透析装置1床)(そのうち陰圧個室2室)で、月・水・金は午前と夜間、火・木・土は午前と午後の血液透析治療を行います。 安全な透析治療を提供するため、開始から回収の透析装置の操作、各種警報対処、メンテナンス業務(始業前点検、定期点検)を主に行います。そのほかにLDLアフェレシス、吸着型血液浄化レオカーナ、顆粒球吸着療法(GCAP)、白血球除去療法(LCAP)、胸水・腹水濾過濃縮還元(CART)なども行っています。
内視鏡業務
内視鏡検査・治療の直接介助、患者様介助、内視鏡スコープの使用前点検や定期点検、洗浄消毒管理、内視鏡画像等の管理を行っています。内視鏡関連機器の保守管理に努め、トラブルの早期発見、早期対処を行い、検査の効率的運営に貢献しています。消化器内科のほかに呼吸器内科、泌尿器科、耳鼻咽喉科で使用される軟性内視鏡スコープの保守管理も行います。また、消化器内科の経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)でのラジオ波焼灼装置の機器操作業務も行っています。
脊髄刺激療法業務
脊髄刺激療法(SCS)とは、硬膜外にリードを入れ神経刺激装置を植え込み、脊髄に微弱な電気を流すことで難治性の痛みを緩和する外科的な治療のひとつです。臨床工学技士が麻酔科外来(ペインクリニック)や脊髄刺激療法装置植え込み手術に立ち合い、専用タブレットを用い、脊髄刺激装置の操作を行います。植込み時から退院後のフォローアップを行います。
- 麻酔科外来(ペインクリニック)
- 脊髄刺激装置植え込み前の試験刺激(トライアル)
- 脊髄刺激装置本植え込み
- MRI対応脊髄刺激装置MRI検査