痛みセンター
痛みセンター
痛みセンターとは痛みに対して多くの視点からアプローチができる機関です。多職種による集学的アプローチに取り組み、痛みを器質的要因だけでなく、痛みの増強や複雑化に関わってくる心理・社会的要因にも目を向けて、一人ひとりの患者様の病態および治療について議論を行い、それぞれの患者様にあった医療を提供することを目指しています。医師を始め、各専門領域のスタッフ (看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士、理学療法士、作業療法士など)と提携して、診療を行い、多職種による症例カンファレンスを実施し、より良い治療を検討します。
【 第1弾 】痛み専門リハビリテーション外来の開設
痛みは不快な感覚であり、また不快な気分にもさせることから、日常生活や社会活動に大きな影響を与えます。痛みは外から見えないため、他人から理解されずにつらい思いをされることがしばしばあります。また、人それぞれで痛みの感じ方や原因は異なるため、どの診療科を受診すればよいのかわからず困っている方も多くいらっしゃいます。
このようにやっかいな痛みに対する医療ですが、実は目覚ましい発展を遂げており、その中でもリハビリテーションの担う役割は非常に大きくなっています。痛みのリハビリテーションは、いろいろなタイプの痛みと痛みに合併して生じる諸症状に対して効果的であることが証明されています。そのため、現在では、痛みのリハビリテーションがさまざまな痛み治療法の中でまず最初に行う治療とされています。
当センターでは、痛み専門のリハビリテーションを行う理学療法士とさまざまな診療科の医師、看護師、臨床心理士などが集まって、患者様をあらゆる面から治療・支援する痛み専門のチーム医療を展開しています。地域の医療機関でこのような国際的に標準となる痛み専門医療を実践している「疼痛センター」はまだまだ数少ない現状にあります。地域の痛み医療の先頭に立って、より先進的な痛み専門リハビリテーションを提供していきたいと考えています。
【 第2弾 】コロナ後遺症ならびにコロナワクチン接種後遺症の痛み専門外来の開設
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の罹患後症状、いわゆる後遺症とは、感染そのものが治まったにもかかわらず、持続する症状のことをいいます。そのなかで、疲労・倦怠感(だるさ)や抑うつ(気分の沈み)とともに、関節痛や筋肉痛は代表的な後遺症となっています。これらの後遺症は、日常生活に困るだけでなく、休職・休学から職場・学校への復帰を難しくします。このような後遺症の多くは時間の経過とともに改善するといわれていますが、1年以上経っても症状が続く場合があります。また、コロナワクチン接種後にも同様な痛み症状が続く場合があります。
このようなCOVID-19罹患後の痛みやだるさは、“引きこもり”や活動量の少ない生活から、サルコペニアやフレイルといった虚弱(体力と気力の低下)状態になり、さらに痛みを悪化させ長引かせることになります。現在、このような痛みは「慢性疼痛」と呼ばれ、ひとつの症状ではなく新たな病気として治療が必要とされています。
COVID-19罹患後やコロナワクチン接種後の長引く痛みを含め、慢性疼痛に対しては運動療法が効果的な治療として世界的に広く推奨されています。運動はカラダの体力を高め倦怠感を改善するだけでなく、ココロの体力も回復し沈んだ気分を改善します。また、運動は痛みそのものを抑え込む効能があることもわかっています。
当センターでは、さまざまなペインクリニック治療に運動療法を組み合わせた先進的な痛み専門リハビリテーションによって、 COVID-19罹患後やコロナワクチン接種後の長引く痛みの改善に取り組んでいます。長引く痛みにお悩みの方はぜひご相談ください。
麻酔科
精神科
理学療法士
神戸学院大学大学院教授
愛知医科大学客員教授
医療技術短期大学部
平成3年卒業
臨床心理士