脳卒中センター
脳卒中センター
当センターは日本脳卒中学会が公表する基準を満たした24時間365日、可及的速やかに急性期脳卒中の治療が可能な施設である、「一次脳卒中センター(PSC: Primary Stroke Center)」に認定されており、脳神経外科医9名、救急診療医6名で24時間365日、急性期脳卒中に対応できる体制をとっています。
スタッフには脳血管内治療専門医2名、脳卒中専門医5名、脳神経外科専門医8名が在籍しており、脳梗塞の患者様に対して緊急でrt-PA静注療法や血栓回収療法、脳神経外科手術を行うことが可能です。中濃医療圏で発生した急性期脳卒中を可能な限り受け入れ、血管内再開通療法を含む適切な治療を行うことで地域の脳卒中医療に貢献してまいります。
医師紹介
平成24年卒業
診療実績
【 当院の実績 】
【 閉塞血管の再開通率と予後 】
【 3ヶ月後mRS 】
急性期脳梗塞治療について
2005年に脳の血管に詰まった血栓を点滴で溶かすことができる遺伝子組換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(recombinant tissue plasminogen activator:rt-PA、グルドバ)を超急性期脳梗塞に対して使用できるようになり、適切に使用することで劇的な効果を示す反面、一方で、出血を起こしかえって症状を悪化させることもあり、日本脳卒中学会はこの薬剤を使用できる施設や医師の基準(適正使用指針)を定め運用してきました。
現在、急性期血栓溶解療法は、発症後4.5時間以内に治療が開始できる場合に治療適応となり、また、ステントや吸引カテーテルを用いて血栓を回収する血栓回収療法は、24時間以内に治療が開始できる場合に治療適応となり再開通率の改善が得られています。しかし、血管内再開通療法は発症からの時間が早いほど治療効果が高く、時間が経過し脳梗塞が完成すれば、適応時間内であっても治療を行えず、急性期脳梗塞患者様を、専門医が常駐し常時対応できる病院へ速やかに搬送することが非常に重要となってきました。日本脳卒中学会は、どこに住んでいても同じような治療を受けることができるような診療の「均てん化」を目指し、この薬剤による治療を24時間365日可能な施設がどこであるかを一般市民や医療従事者にも分かるようにするために、「一次脳卒中センター」として認定し、公表することになりました。
一次脳卒中センター(PSC)とは
地域の医療機関や救急隊からの要請に対して、24時間365日脳卒中患者様を受け入れ、急性期脳卒中診療担当医師が、患者様搬入後可及的速やかに診療(rt-PA静注療法を含む)を開始できる施設です。一次脳卒中センターの認定要件は、脳卒中ユニットがあり、頭部MRI、頭部CT等の検査設備があり、24時間365日稼働可能であること、脳卒中専門医を始め、脳卒中の専門医療に従事可能な人員配置基準等を満たした施設です。当院は脳神経外科医9名、救急診療医6名で24時間365日、急性期脳卒中に対応できる体制をとっています。スタッフには脳血管内治療専門医2名、脳卒中専門医5名、脳神経外科専門医8名が在籍しており、緊急でrt-PA静注療法や血栓回収療法、脳神経外科手術を行うことができます。中濃医療圏で発生した急性期脳卒中を可能な限り受け入れ、血管内再開通療法を含む適切な治療を行うことで地域の脳卒中診療に貢献したいと考えています。
当院の実績と今後の課題
2008年より、tPAによる超急性期血栓溶解療法を開始し、救急隊、救急部やパラメディカルの方の迅速な対応により、適応患者様には全例治療可能でした。当院の過去13年間に180症例に対して急性期治療を行ってきましたが、tPA治療後再開通率は、内頚動脈閉塞(20%)、脳底動脈閉塞(39%)と低く、予後も悪い傾向にありました。発症後8時間以内の症例では、急性期血栓除去術の効果が報告され、当院でも2017年より主幹動脈閉塞症例に対して、tPA治療後脳血管撮影を施行し、血栓残存症例には、機械的血栓回収療法を行う方針としました。中大脳動脈閉塞の血栓残存例では血栓回収療法により、再開通を認め、劇的な症状の改善を認めましたが、内頚動脈閉塞例や脳底動脈閉塞例は、部分的再開通しか得られず、広範な脳梗塞により重篤な後遺症が残存することが多く、今後の課題と思われます。
急性期脳卒中の治療のなかで、rt-PA静注療法に加えて機械的血栓回収療法の治療効果が高いことより、常時(24H/7D)機械的血栓回収療法を行える施設に対し血栓回収脳卒中センターの認定、また血管内治療などの高度な治療を24時間行える包括的脳卒中センターの認定、脳卒中患者様に対して医療及び介護に関する適切な情報提供を行う「脳卒中相談窓口」の設置等が検討されており当院でも認定されるよう症例を重ねていきます。