薬剤部
薬剤部
基本理念・方針
満足を得られる医療の実現をめざし、
他職種と協働のうえ安全・確実な薬物療法を提供
- 質の高いチーム医療を実施する。
- 薬剤師間の情報共有を図る。
- 十分なエビデンスに基づいた薬剤業務を行う。
- 業務を通して真に役立つエビデンスを構築する。
薬剤部長挨拶
こんにちは。薬剤部の責任者を担当しております平出と申します。
With COVID-19時代となり、私たち病院薬剤師を取り巻く環境と業務形態も大きく変わりました。一方で、患者様にとって良い医療を提供し、そのために業務に対し常に真摯に取り組もうとする姿勢は、私たちのコアとなる考え方としてスタッフの心の中に息づいています。
2022年1月より、当法人では中部国際医療センターが新規開院致しました。オンラインでの情報伝達が進み、医療の国際化についても更なる加速が予想されます。地域医療はもちろんのこと、国内・国外問わず、一人ひとりの患者様に薬を通して貢献したい…そのような思いで、私たちは様々な業務と向き合い、患者様とその大切な人の笑顔をめざします。
施設認定
- 薬学教育協議会 薬学生実務実習受入施設
- 日本医療薬学会 医療薬学専門薬剤師研修施設
- 日本医療薬学会 がん専門薬剤師研修施設(基幹施設)
- 日本医療薬学会 薬物療法専門薬剤師研修施設
- 日本医療薬学会 地域薬学ケア専門薬剤師研修施設(基幹施設)
認定資格
- がん指導薬剤師 1名
- がん専門薬剤師 1名
- がん薬物療法認定薬剤師 1名
- 外来がん治療認定薬剤師 1名
- 医療薬学指導薬剤師 1名
- 医療薬学専門薬剤師 1名
- 認定実務実習指導薬剤師 2名
- 日本糖尿病療養指導士(CDE) 2名
- 漢方・生薬認定薬剤師 1名
- 公認スポーツファーマシスト 1名
- 医療情報技師 2名
- 認定吸入指導薬剤師 1名
- 日病薬病院薬学認定薬剤師 2名
- 核医学認定薬剤師 1名
主な業務内容
■ 医薬品情報管理室
医薬品情報管理室では、薬剤が適正かつ安全に使用されるように、医薬品情報の収集・評価・加工を行っており、医師・看護師をはじめとしたメディカルスタッフや患者様に発信しています。また、医薬品の新規採用や後発医薬品への変更に関する情報も発信しています。 患者様に薬剤を安心して使用してもらえるように、薬剤についての説明書や資料の管理を行っています。 抗MRSA薬、抗てんかん薬や免疫抑制薬などについては治療的薬物モニタリング(TDM)を行い、医師と協議しながら適正な処方設計を行っています。 薬剤管理指導業務や病棟薬剤業務のホームベースとしての役割もあり、相談応需や処方提案などの情報を収集・評価し、部内スタッフへ共有することで各スタッフのスキルアップを図っています。
■ 病棟薬剤業務
各病棟に専任薬剤師を配置しており、患者様への服薬指導や持参薬管理を行っています。 医師や看護師などの多職種と連携をとり、処方された薬の量や飲み合わせ、副作用の有無についてチェックを行ったうえで、患者様にあった処方の提案を行っています。また、職種を問わずメディカルスタッフからの薬に対する質問や相談にも対応しています。
病棟カンファレンスでは、患者様がよりよい治療を受けられるように薬の専門家として参加し、多職種と活発に議論しています。
■ 調剤室
外来・入院患者様の内用・外用薬の調剤と適正な在庫管理を行っています。(院外処方箋発行率:90%以上) 院内製剤の調製・品質管理を行っています。 患者様が入院時に持参した薬について、実物を確認しながら電子カルテシステムへ入力する持参薬鑑別業務を行っています。抗血栓薬を服用している場合や当院採用薬と規格が異なる場合などについては、注意喚起を行っています。
■ 点滴調剤室
外来・入院患者様の注射薬の調剤と適正な在庫管理を行っています。注射薬は1患者様1トレーかつ施用毎にセットを行っています。手術室、中央検査室や透析室への薬剤の払い出しも行っています。
■ 無菌製剤室
高カロリー輸液(TPN)および抗がん剤の無菌的調製を行っています。
■ 治験薬管理室
治験薬の管理を行うとともに、治験コーディネーターと連携し臨床試験を円滑に進めています。
■ 中部療護センター ホットラボ室
PET(Positron Emission Tomography)検査用放射性医薬品の製造および品質管理を行っています。
チーム医療
チーム医療とは、異なる職種のメディカルスタッフが連携・協働し、それぞれの専門スキルを発揮することで、入院中や外来通院中の患者様の生活の質(QOL)の維持・向上できるようにサポートしています。
当院薬剤部ではチーム医療に積極的に参加しており、患者様により良い薬物療法を提供できるように薬のプロフェッショナルとしてアドバイスを行っています。
■ 感染制御(ICT・AST)
医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師など様々な職種が参加し、院内で発生する様々な感染症に対して原因を探り、感染を広げないように感染予防策の指導、抗菌薬の適正使用の推進等を行っています。
【活動内容】
- 週に一度カンファレンスを行い、院内の抗菌薬の使用状況や耐性菌の検出状況の調査をします。
- 定期的に院内をラウンドし、感染症の原因となるような環境がないかチェックを行います。
- その他アウトブレイク時の対応や、院内研修、針刺し事故の際の対応などを行っています。
■ 糖尿病
インスリン導入患者様への手技指導を行い、定期的に糖尿病教室を開催し、院内外問わず患者様に対して糖尿病のことや経口糖尿病薬、インスリンについての勉強会を開いています。
■ 栄養サポート(NST)
栄養障害のある患者様に適切な栄養療法が行われているかをチェックし、適切で質の高い栄養管理を提供することで離床及び早期治癒をサポートしています。
【薬剤師の役割】
個々の患者様の病態に応じた適切な輸液・経腸栄養剤等の処方提案を行います。 薬剤の投与速度やルートの提案、薬剤による副作用の早期発見
■ がん薬物療法
入院・外来がん化学療法が滞りなく施行されるよう、副作用チェック、適切なレジメンの提案、個々の患者様の気持ちに沿った支持療法を提案・実施しています。また、がん化学療法委員会での活動をとおして、レジメン審査・登録や安全ながん薬物療法を提供しています。
【がん化学療法レジメン】
当院では、がん化学療法を受ける患者様が適切かつ安全に治療を受けられるように、また地域の医療機関(病院、薬局など)とがん薬物療法に対して連携をとることを目的にレジメンを公開しています。
がん化学療法レジメン[PDFファイル]レジメン(治療内容)についての詳細は、以下へお問い合わせください。
■ 緩和ケア科
週に1回緩和ケアカンファレンス及び回診を行い、終末期の患者様に対して痛みだけでなく様々苦痛を和らげられるようにサポートを行っています。
【薬剤師の役割】
患者様の状態に合わせて適切な鎮痛剤の提案を行っています。また患者様や家族に対して安心して薬を使っていただくために丁寧な説明や使用方法の指導を行います。医療用麻薬の副作用軽減のための支持療法や痛み以外の苦痛に対しての薬物療法の提案も行っています。
■ 褥瘡ケア
褥瘡とは十分に寝返りができなくなった時に、圧迫などの影響により皮膚がダメージを受け水疱や潰瘍になってしまう状態です。褥瘡は一旦発生し重症化してしまうと治癒するのに非常に時間がかかってしまいます。当院では褥瘡予防や褥瘡の早期発見、早期治癒を目指して褥瘡ケアチームが院内ラウンドを行っています。
【薬剤師の役割】
薬効成分だけでなく基材も考慮し、褥瘡の状態に合わせて薬剤の提案を行っています。
■ 排尿ケアチーム(CST)
尿道カテーテルを留置中または抜去後の尿路機能の回復を目的に活動するチームです。
【薬剤師の役割】
患者様の使用薬剤に排尿困難を引き起こす薬がないかチェックや、排尿を助ける薬の提案を行っています。
■ 認知症ケアチーム
認知症やせん妄症状のある患者様でも安心して医療が受けられ、退院後も以前と変わらない生活を送って頂くためにサポートをしています。
【薬剤師の役割】
せん妄(環境の変化や症状が原因で起こる一過性の混乱)が起こりやすい薬剤をチェックすることやせん妄を予防するための薬物療法についての提案を行います。
薬剤師の紹介
1年目の終わり頃から病棟に配属され、現在は消化器内科病棟を担当しています。病棟業務では服薬指導や副作用のチェック等の様々な仕事を行っています。服薬指導では患者様と会話しやすいように立ち位置や目線を意識して話すことを心がけています。薬剤部の先輩方からは知識だけでなく仕事に対する考え方や姿勢など多くのことを学ぶことができ、また仕事で行き詰った時には親身に話を聞いて的確なアドバイスをして下さるので一人で抱え込むことなく、働きやすい職場だと思います。休日はピアノを弾いたり、お菓子作りをしたりしています。最近は新たな挑戦として新しい楽器を始めようかと考えています。今後はより専門性の高い知識を持つ薬剤師になるために資格の取得を考えていますが、まだ何を目指すかは決めていないのでまずは幅広い知識を得るために日々勉強をしています。
2年目の途中から調剤業務に加えて抗がん剤のミキシング業務をするようになりました。病棟は脳神経外科を担当しており、主に脳卒中患者様の服薬指導などを行っています。中部国際医療センターの薬剤部の良い所は先輩後輩の仲がよく、楽しい雰囲気で仕事が出来ることと自分の興味のある分野ややりたいことをやらせてもらえることだと思います。今後は感染制御認定薬剤師の資格取得を目指して、現在はICTやASTといったチーム医療活動に参加しています。また、中部国際医療センターの薬剤部は比較的休みが自由に取れるため趣味のバスケットボールやロードバイクをしたりして勉強だけでなくメリハリのある生活を送っています。
私は消化器外科や乳腺外科、泌尿器科、形成外科の混合病棟を担当しています。また緩和ケアチームとしての活動も行っています。中部国際医療センターは多様な診療科のある総合病院であり、調剤業務中にも幅広い診療科の処方を経験できます。また、他職種と関わる業務を多く経験することができ、薬剤師としての職能を周りからも評価してもらえ、モチベーションを維持しながら仕事ができます。また、産休・育休の取得に対して理解のある職場であり、育休後も短時間勤務、夜勤免除にしてもらえ育休復帰後も無理なくキャリアを継続させてもらえたことは中部国際医療センターに入って良かったと思います。今後は緩和薬物療法認定薬剤師の資格を取得し、苦痛症状の緩和について幅広い知識を持つ薬剤師として辛い症状に悩む患者様に寄り添えるよう尽力していきたいです。
主な研究内容
当薬剤部では、各職員は業務の質の向上・効率化をめざし、研究マインドを持って業務に携わっています。
- 薬学・医学・医療経済学的見地に立った医薬品評価体制の確立
- リアルタイムな医薬品情報管理および的確な情報収集・評価・発信の実施
- 医薬品の適正な発注・在庫管理方式の確立と病院経営への寄与
- CDTMによる薬剤師主導型Antimicrobial stewardshipの実践と評価
- 糖尿病治療における効果的な薬物療法の実現をめざした薬剤管理指導業務の確立
- テーラーメード栄養管理の完全実施とその評価
- 安全ながん薬物療法施行体制および効果的な支持療法の確立
- ニーズに沿った効果的な緩和薬物医法の提供
- 薬物動態学に基づく的確な処方設計と副作用解析
- 薬剤師主導の治療的薬物血中濃度モニタリングとその薬剤学・経済学的評価
- 高収量をめざしたPET用試薬合成方法の確立
- 災害・救急医療における薬剤業務の構築
主な業績
2020年 業績
【著書・総説】
- 【乾癬治療の最前線】乾癬治療における生物学的製剤導入時の薬剤師による介入と評価
平出耕石
ファルマシア 56(4):319-321,2020
【学会発表】
- 有害事象自発報告データベース(JADER)を用いた高齢者の転倒関連有害事象の解析
畠平春奈,長谷川 栞,笹岡沙也加,加藤大和,阿部純子,元岡佑美,福田昌穂,長沼美紗,中尾智史,向井梨々香,島田和代,平出耕石,加藤武司,中村光浩
日本薬学会第140年会 2020.3.25-28 京都(誌面発表) - 有害事象自発報告データベースによる多剤併用が高齢者の転倒リスクに及ぼす影響 畠平春奈,長谷川 栞,笹岡沙也加,加藤大和,阿部純子,元岡佑美,福田昌穂,長沼美紗,中尾智史,向井梨々香,島田和代,平出耕石,加藤武司,中村光浩
第30回日本医療薬学会年会 2020.10.24-12.1 名古屋(Web開催) - 免疫関連有害事象に対する院内統一アルゴリズムの作成
安田憲隆,宮本義浩,平出耕石,森川あけみ,加藤武司,竹内 賢
日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会2020 2020.11.21-22 岐阜(Web開催)
【研究会・研修会講演】
- 経口抗がん薬の服薬指導と副作用対策のポイント~カペシタビンを中心に~
平出耕石
岐阜北地区 地域薬薬連携研修会 2020.1.22 岐阜 - 緩和ケアで押さえておきたい薬剤について~がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版に沿って~
平出耕石
がん疼痛緩和ケアwebセミナー 2020.10.14 関(Web開催) - 乳癌診療ガイドライン2018年版ver.4の改訂点について~CDK4/6阻害薬を中心に~
平出耕石
岐阜乳がん チーム医療の会 2020.11.11 岐阜(Web開催) - .【一般講演】乳がん治療におけるチーム医療と薬剤師の関わり~ブレストケアチームの活動を中心に~
宮本愛果
第259回 中濃ブロック研修会 2020.12.9 美濃加茂(Web開催)
共同研究実績
- 岐阜薬科大学 薬学部 実践薬学大講座 医薬品情報学研究室
- 名城大学 薬学部 地域医療薬局学教室
- 愛知学院大学 薬学部 実践薬学講座
- 金城学院大学 薬学部 医療薬学研究室
- 同志社女子大学 薬学部 臨床病態生化学研究室
- 岐阜大学 医学部附属病院 薬剤部
- 大垣市民病院 薬剤部
- 国立長寿医療センター研究所
- 藤田保健衛生大学病院 薬剤部
入職して4か月が経ちました。現在は主に内服薬や注射薬の調剤等の基本的な業務を行っています。中部国際医療センターは先輩方の指導が手厚く、分からないことはなんでも気軽に聞くことができ、優しく教えてくれるので非常に助かっています。職員になると福利厚生としてクラブMという提携のスポーツジムを安く利用することができるので、休日はよくジムに行き、体を鍛えたりしています。抗がん剤や漢方薬に興味があるので、今後は資格を取得するために勉強していきたいと思っています。