歯科口腔外科
歯科口腔外科
当科では埋伏智歯を始め、顎関節症、口腔粘膜疾患、腫瘍・嚢胞疾患、歯性炎症、顔面外傷、睡眠時無呼吸症候群・非定型顔面痛・舌痛症など口腔外科疾患を広く扱います。また基礎疾患や障害などにより通常の歯科医院での対応が困難な患者様に対しても、紹介をいただいた上で、医学的な配慮の元、一般歯科治療、外科処置を行なっています。 ぜひご相談ください。
医師紹介
診療内容
当科では愛知学院大学歯学部附属病院口腔外科と連携を図っており、多岐にわたる口腔領域の疾患に対して、より良い歯科口腔外科医療を提供することを目標に診療を行っています。
また当院はがん拠点病院として多くのがん治療が他の診療科でも行われております。がん治療を遂行するに当たり、全身抵抗力の低下に伴う口腔環境の悪化からの肺炎や口腔内の粘膜炎や疼痛、味覚障害など口腔のトラブルが原因でがん治療を中断しないといけない患者様も多く、がん治療を円滑にすすめるために手術の前後の口腔管理や化学療法中の口腔管理が不可欠です。当科ではこうした患者様を対象に入院・外来問わず口腔管理を積極的におこなっております。
また、脳血管疾患や誤嚥性肺炎や低栄養状態で入院されている高齢者も最近では増加しており、入院早期からの口腔管理をおこなうことが重要で、口腔環境の改善や摂食嚥下機能の回復につながると考えられています。当科では多職種とも連携を行い、NST(栄養サポートチーム)への参加や各病棟を回診し口腔環境の悪化や摂食嚥下機能の低下の患者様に対しては、必要な口腔管理を積極的に行い、退院後も地域医療機関へつなげる取り組みをしています。
主な対象疾患
親知らずの抜歯、炎症、蜂窩織炎、骨髄炎 、歯性上顎洞炎、歯牙脱臼、下顎骨骨折、軟組織損傷、顎関節症、顎関節脱臼、口腔がん、良性腫瘍、嚢胞、有病者の歯科治療(心臓病、高血圧、脳梗塞、抗凝固剤を飲んでいる方など、一般歯科医院では治療が困難な患者様の歯科治療)、口腔心身症(口の中の違和感、舌痛症状など)、睡眠時無呼吸症候群、口腔乾燥症、難治性口内炎、味覚障害、白板症、扁平苔癬、摂食嚥下障害
短期入院で静脈内鎮静下の親知らず抜歯
当科では抜歯に対しての不安、苦痛軽減のため、静脈内鎮静を併用した短期入院(1泊2日または2泊3日)での複数の歯を同時に抜歯することにも対応しています。
治療期間を短縮できること、眠りを誘う薬や痛み止めの薬を使うことで抜歯の間も精神的ストレスを軽減することは患者様にとって大きなメリットです。さらに術後は歯科医師のチェックが入りますので術後管理も安心していただけると思います。平日は仕事で休みが取りにくい方でも土日で同時に親知らずの抜歯を終えることができます。また、女性の方は特に出産や育児などのライフイベントと親知らずの疼痛が重なることがあり、ご自身へもご家族への負担も増えると思いますので、親知らずの治療が必要になりそうな患者様には早めの治療をお勧めしたいと思います。
超選択的動注化学放射線療法による
進行口腔がんの治療
当科では進行口腔がんに対して抗がん剤と放射線治療を組み合わせた「超選択的動注化学放射線療法」を採用し、手術を回避し、最大限の臓器・機能温存を目指しています。
初期の小さな口腔がんに対しては通常の切除手術をしますが、リンパ節転移が疑われる、または腫瘍サイズの大きい腫瘍については超選択的動注化学放射線療法を選択します。癌組織に栄養を送りこんでいる動脈に直接抗癌剤を注入し、同時に放射線を照射する手法で、がんに栄養を供給する動脈から直接抗がん剤を投与することによって、静脈から投与する方法と比較すると高い濃度の抗がん剤ががん組織に行き渡り、より高い治療効果が期待出来ます。この方法と放射線療法を同時に行うことによって原発(もともとあった口腔内の癌)の手術を回避することも可能となります。
この治療方法を行うことによって、食べる、話す、飲み込むといった機能障害を最小限にすることができ、患者様のQOL(quality of life=生活の質)は維持されるようになりました。
周術期口腔機能管理、入院中の
口腔管理の必要な方へ積極的な介入
当院ではがんや脳血管疾患、心臓疾患等で全身麻酔の手術を行う患者様の口腔機能管理を実施することにより、手術中の歯の脱落などのお口のトラブルや術後の誤嚥性肺炎・創部感染症の予防を図っています。また、がん治療において化学療法・放射線治療を行う場合の口腔粘膜炎や口腔内感染の発生の予防、早期治療を行い、治療に伴う苦痛などの予防をおこない治療の向上を心がけています。
手術を伴わない入院患者様に対しても、誤嚥性肺炎や脳血管障害等でセルフケアが困難で、口腔環境が悪化している方については主治医と相談の上、入院中のベットサイドでの口腔ケアの実施も行っています。また入院中、入れ歯が合わない、歯が痛いなどで経口摂取が進まない方については入れ歯の調整や虫歯の治療も行います。 中部国際医療センター 歯科口腔外科では地域の歯科医院とも連携を行い、退院後に必要な歯科治療や継続した管理が必要な場合はかかりつけ歯科へ紹介状を作成し、退院後も安心して治療が行える体制を作っております。
診療実績
【 紹介患者数 】
年 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|---|
全身麻酔手術 | 26 | 28 | 27 | 38 | 40 |
顎骨嚢胞・腫瘍 | 9 | 11 | 10 | 17 | 17 |
埋伏歯・埋伏過剰歯 | 4 | 2 | 6 | 9 | 9 |
顔面骨骨折・下顎骨骨折 | 2 | 5 | 1 | 5 | 2 |
悪性腫瘍切除術 | 2 | 6 | 3 | 4 | 6 |
頚部郭清術 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 |
口腔腫瘍切除術 | 1 | 2 | 2 | 0 | 1 |
上顎洞根治術 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
下顎枝矢状分割術 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
顎下腺摘出・唾液腺腫瘍切除術 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 |
唾石摘出術 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 |
腐骨除去術 | 0 | 1 | 2 | 0 | 2 |
骨隆起切除術 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 |
外歯瘻切除術 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
顎骨内異物除去術 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
障碍者のう蝕処置 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 |
静脈内鎮静法手術 | 272 | 315 | 236 | 362 | 388 |
埋伏歯・埋伏過剰歯術 | 220 | 267 | 203 | 285 | 329 |
顎骨嚢胞・腫瘍・歯根端切除 | 19 | 25 | 15 | 53 | 36 |
舌腫瘍切除 | 7 | 4 | 0 | 2 | 2 |
腐骨除去術 | 6 | 2 | 4 | 3 | 7 |
インプラント除去術 | 4 | 7 | 4 | 0 | 2 |
う蝕処置 | 4 | 1 | 3 | 0 | 1 |
骨隆起切除術 | 3 | 2 | 0 | 6 | 5 |
口腔腫瘍切除術 | 5 | 3 | 2 | 2 | 2 |
顎骨内異物除去術 | 0 | 3 | 2 | 4 | 0 |
唾石摘出術 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 |
外歯瘻切除術 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
気管切開術 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
下顎骨骨折非観血的整復術 | 1 | 0 | 1 | 5 | 2 |
顎関節脱臼整復術 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 |
埋伏歯以外の抜歯 | 54 | 52 | 15 | 50 | 48 |
蜂窩織炎・頬部膿瘍・上顎洞炎 | 14 | 14 | 11 | 20 | 18 |
顎骨骨髄炎・ARONJ | 0 | 4 | 1 | 2 | 0 |
下顎骨骨折(保存加療) | 1 | 2 | 2 | 1 | 1 |
下顎骨骨折以外の顔面外傷 | 0 | 3 | 1 | 1 | 0 |
放射線化学療法 | 2 | 2 | 1 | 8 | 9 |
緩和治療 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 |
化学療法に伴う合併症 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 |
抜歯後出血 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
クインケ浮腫 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
帯状疱疹 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 |
摂食嚥下障害 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
三叉神経痛 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
入院合計 | 375 | 424 | 298 | 484 | 464 |